医療数字のカラクリ

ナチスの「人体実験」を忘れないための「ヘルシンキ宣言」

 さらにこの宣言の冒頭には、「『私の患者の健康を私の第一の関心事とする』ことを医師に義務付け、また医の国際倫理綱領は、『医師は、医療の提供に際して、患者の最善の利益のために行動すべきである』と宣言している」と書かれています。

 あまりに当たり前なことですが、このヘルシンキ宣言のスタートは、第2次世界大戦中にナチスドイツによって行われた人体実験の反省から出発しており、この当たり前の宣言から始める必要がありました。

 この宣言は37項目からなりますが、日本医師会が日本語訳を提供しており、全文をネット経由でも手に入れることができます。A4で6ページほどの短いものですから、ぜひ全文を読んでみてください。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。