糖尿病に絶対ならない 春の最新常識

<4>糖尿病の発見に役立つ「ニキビ」「音叉」「釣り糸」

(C)日刊ゲンダイ

「食事を取るとすぐ眠くなるし、おしっこも心なしか泡立っている。糖尿病のような気がするが、どのくらい進行しているのか知りたい」

 糖尿病予備群のなかには病院での診察を拒否しつつも、自身の症状に気をもんでいる人も少なくない。

 むろん、血糖値を調べるなど医療機関で受診すればすぐに分かるのだが、「糖尿病宣告」を受けた場合の生活や精神的不自由さが怖いのだ。

 糖尿病の症状は「のどが渇く」「体がだるい」などが有名だが、これは病気がかなり進行しているケース。最新の研究では、「20歳以上のニキビは糖尿病予備群の可能性が高い」というものがある。

 インドの研究者が「米国糖尿病学会誌」(2015年12月23日号)に報告したもので、20歳以上のニキビのある男性100人とニキビのない男性100人とを比較したところ、ニキビあり群ではインスリン抵抗性のある割合が高かった。

 また、目を開けたまま片足で何秒立っていられるかの「片足立ち時間」の短縮は、糖尿病の末梢神経障害の危険因子。糖尿病性神経障害の進行具合を知る目安になるとの研究もある。糖尿病専門医で「しんクリニック」(東京・西蒲田)の辛浩基院長が言う。

「糖尿病は自覚症状が乏しいため、合併症を発症して初めて自分の病気を自覚するケースが少なくありません。例えば、糖尿病の3大合併症は、発症0~3年くらいから神経障害、7~8年くらいで網膜症、10年以降で腎症が起こることが知られています。むろん、個人差がありますので必ずこの年数で発症するわけではありませんが、糖尿病の合併症は神経障害から始まることは覚えておきましょう」

 多くの糖尿病患者は手足の異常から糖尿病を自覚する。手足がしびれたり、ピリピリするからだ。とくに足裏に薄紙を貼ったような違和感が糖尿病を自覚するキッカケになったという人は多い。

「医師は血糖値などの検査データやこうした患者の訴えから糖尿病を判断します。糖尿病性神経障害の診断には、ほかにアキレス腱検査を用いることもあります。これはゴム製のハンマーでアキレス腱を軽く叩いて、筋肉が収縮するときの反射を見る検査です。刺激を受けたのに神経が反応しないということになると、神経障害が進んでいるということになります」(辛院長)

 また、音楽で使われる「音叉」を使って振動を発生させ、それを患者のすねやくるぶしに当てて振動が感じられなくなるまでの時間を測る検査や、ナイロン製の「釣り糸」のようなものを足の甲や裏に押し当てて「触れている感覚があるか否か」を調べるタッチテストなどを行うこともある。