漢方達人をめざせ!

頭の疲れは胃の疲れ

コーヒーを飲みながらボーッと…(写真はイメージ)
コーヒーを飲みながらボーッと…(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 ダイエットについての相談も多いですが、一方で「食べられない」という相談も少なくありません。こういう場合、食欲がなくて食べられないのか、食べたいが食べられないのか、どちらなのかを考えます。

 さらには、食物が胃の中でうまく消化できていないのか、肝や胆の働きが悪くて油ものの解毒ができず消化が悪いのか……。

 このような話をされるほとんどの方がデスクワーク中心の仕事です。東洋医学では「脾」という概念があり、脾と胃は表裏の関係にあります。また、思考の臓器ともいわれ、頭を使いすぎると食物の消化の働きが鈍くなり、「食べられない」。仕事などで根を詰めることが多く、休日は比較的よく食べられるのに平日は食べられない日が続く人、朝や昼はそれほど問題ないのに夜になると膨満感がある人、食事の内容と胃の調子が必ずしも連動していない人は、脾に関係ある「食べられない」の可能性が考えられます。

 漢方薬では「四逆散(しぎゃくさん)」「六君子湯(りっくんしとう)」「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などがおすすめです。これらはストレスを強く感じている場合などに使う漢方薬で、頭の使い過ぎによる脾の疲れを解消します。

 自分なりのストレス解消法を見つけるのもいいかもしれません。仕事帰りに打ちっぱなしに行ってクラブを振り回す、風呂にゆっくりつかる、喫茶店でおいしいコーヒーを飲みながらボーッとする。今の季節なら、ゆっくりと夜の散歩を楽しむのもいいと思います。

 今は食欲に影響しているだけですが、これが続けばストレスがたまって全身に何らかの症状が出てくるかもしれません。

久保田佳代

久保田佳代

父は乳児院院長、母は薬剤師、長女は歯科医、次女は眼科専門医という医療一家に産まれたが、昨今の臓器医療である西洋医学とは違い、人に向き合い、カラダとココロの両面から治療が行える漢方を志し20余年経つ。昭和薬科大学卒業、老舗漢方薬局を経て、「氣生薬局」開局。サプリメントアドバイザー、漢方茶マイスター、日本プロカウンセリング協会1級など多数資格取得。「不妊症改善における実力薬局100選」に選ばれている。