糖尿病に絶対ならない 春の最新常識

<5>長寿になると話題の薬 心血管死を低下させ体重、脂肪肝も改善

(C)日刊ゲンダイ

 糖尿病薬は患者にどんな利益をもたらすか、ご存じだろうか?

 むろん、血糖値が下がることは間違いない。しかし、それが「長寿」や「糖尿病が引き金で起きるとされる脳梗塞や心筋梗塞などの心血管病のリスクを下げられる」ことは証明されているのだろうか? 残念ながら「それはほとんど証明されていない」というのが医療関係者の常識だ。

 ところが、そんな常識を打ち破る薬としていま話題になっているのが、「SGLT2阻害薬」だ。SGLTは「ナトリウム・グルコース共役輸送体」と呼ばれるタンパク質の一種で、グルコース(ブドウ糖)やナトリウムといった栄養分を細胞内に取り込む働きがある。SGLTは多くの種類があるが、SGLT2は近位尿細管と呼ばれる腎臓近くにのみ存在し、尿中に排泄されたグルコースを細胞に再吸収する。

 これをストップさせるのがSGLT2阻害薬で、血中のグルコース量を減少させる。糖尿病専門医で「しんクリニック」(東京・西蒲田)の辛浩基院長が言う。

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