どうなる! 日本の医療

米国で話題の「臓器別診療」の否定 日本で広がるのか?

(C)日刊ゲンダイ

 仮にがんで入院した患者が糖尿病の持病があったとしても、まずはより深刻な病気を治療することが優先され、内科疾患に十分な治療をする余裕も人手もない。

「最初から複数の専門医が患者さんの全身状態を診て、根治療法を探る。むろん、その後に起こるであろう合併症を予測して対処する。結果的に患者負担は軽減され、医療費も安くなる。しかし、それをすぐできるのは世界一医療費が高い米国においてであって、日本では難しいのです」(本田医師)

 そもそも日本の医療は研究、論文、実験に重点を置くドイツ医療を模範として発展し、臨床中心の米国とは成り立ちが違う。そのため、日本の医療従事者は自分が専門医として勝ち取ってきた医療システムを捨て去れない。

「それでも患者のための医療は世界の大勢。日本ではお金持ちからクリーブランド方式の治療が行われるのではないか」(首都圏の内科医)

 日本の医療格差はさらに広がるということか。

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。