ただし、木の香りが強いほど効果が高いというわけでもない。谷田貝氏らは1980年代にマウスを使った運動量の実験で、香りの濃度の違いによる効果の差も導き出している。運動量が最も多かったのは、ヒノキでは0.003ppm、トドマツでは0.08ppm。単位「ppm」は、100万分の1の濃度。人でも心地よく感じる“ほのかな香り”程度がちょうどいいという。
「木造新築の家だと最初は木の香りが強く、年数がたつとだんだん香りは薄くなってきます。しかし、むしろ年数がたった方がいい。人は10億分の1(ppb)の濃度の香りでも何となく感じています。それでも、居住空間の木の香りは生理的に体にいい影響を与えているのです」
木の天然精油のアロマオイルや芳香剤を使う場合でも、香りが強すぎないように調節することがポイントになる。
部屋に木材が多く使われていなくても、大幅なリフォームをする必要はない。木の香りを放つ“後付け”の製品などを上手に使えばいいのだ。
健康は住まいがつくる