薬に頼らないこころの健康法Q&A

数学者への夢が断たれすさんだ生活を続ける息子が心配

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(C)日刊ゲンダイ

 大学生の息子を持つ母親です。私たち夫婦は、どちらも平凡な地方公務員でしたが、息子は幼いころから知的関心が旺盛で、小学生のころから自分で探してきた数学塾に通い、来る日も来る日も数式を解いていました。中学を卒業するころには、高校で習う範囲は終わっていたように思います。高校に入ると、今度は文学や哲学に凝り始め、放課後のほとんどの時間を図書室で過ごしていました。「将来は数学者になりたい」と言って、関東地方の国立大学の数学科に入学。しかし、本人は、そこで出会った同級生たちの実力に驚いたようで、「とても数学では勝負できない」と、ほとんど学校に行かなくなってしまいました。

 その後は、飲食店でのアルバイト三昧。髪を茶色に染め、服装も派手になりました。大学の近くにアパートを借りてひとり暮らしをしていますが、夜中に電話をかけても不在のことが多く、どこかを泊まり歩いているようです。たまに電話がつながったときは寝ているところを起こしてしまったようで、不機嫌で会話が成立しませんでした。アパートを訪ねてみたところ、酒やたばこが散乱し、心配な雰囲気でした。息子が次第に荒れた生活に入っていくようで、心配です。

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井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。