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アンジ―の告白で話題に がんの遺伝子診断と予防的切除

両乳房と卵巣を切除したアンジェリーナ・ジョリー(C)日刊ゲンダイ

 ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーが、遺伝子診断の結果をもとに両乳房を切除したのは2013年。さらに昨年は卵巣も切除しました。

 それによって一躍有名になったのが、「BRCA1」と「BRCA2」の2つの遺伝子です。この2つの遺伝子に異常があると、乳がんと卵巣がんのリスクが、正常な人の10倍近く高まります。そこで発がんのリスクを下げる「予防的切除」が、世界中で広まりを見せています。

 日本でもBRCA1/2の検査ニーズが急激に高まっています。しかし、まだ健康保険は使えません。自由診療、つまり全額自腹になります。費用は病院によりますが、遺伝カウンセリング料も含めて25万~40万円程度と、決して安くありません。

 検査の結果、異常が見つかった場合は、さらに厄介です。予防的切除を受けるべきか否か、受けるとしたら乳房だけか、卵巣も取るのかを決めなければなりません。しかし、日本では予防的切除が社会的に十分に容認されていないため、やってくれる病院は限られています。しかも、どの病院でも院内の倫理委員会を通さねばならず、実施までに時間がかかります。

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永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。