お酒をたくさん飲まれる方の中には、肝臓が悪くなることを心配して、ビタミンのサプリメントを取っている人が多いと思います。しかし、ビタミン剤の取り過ぎで、肝硬変になることもあるのです。
先月の「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」という一流の医学誌に、ビタミンのサプリメントを取り過ぎて肝臓障害と門脈圧亢進症という病気になり、危うく肝硬変になるところだったという事例が報告されています。
その原因はビタミンAのサプリメントでした。ビタミンAは皮膚、粘膜、目の健康に必須のビタミンです。体の中では肝臓にある肝星細胞という細胞に蓄えられます。その肝星細胞は、ビタミンAが過剰になると、ため込んでブクブクと太り、血液の通り道を邪魔することになります。このため、肝臓の中の血液の流れが悪くなり、門脈圧亢進症になって、お腹や足に水がたまるのです。
さらに肝星細胞は、肝臓に炎症が起こると、肝臓を硬くする線維を作って、肝硬変の原因になる細胞でもあるのです。
ビタミンAはレバーやウナギに多く含まれています。毎日こうした食品を食べていると、過剰になる可能性もあります。日本製のサプリメントに含まれているのは、ビタミンAの原料であるβ─カロテンなので、危険性は低いといえます。しかし、それでもビタミン剤の取り過ぎには気を付ける必要があるのです。
医者も知らない医学の新常識