「卵子は老化する」――。 2012年2月に放送されたNHKの人気番組「クローズアップ現代」でこんな事実を知り、ショックを受けた人も多いことでしょう。多くの女性が「生理があるうちは子供を産める」と信じていただけに、それが幻想だと知らされたショックは大きかったはずです。
卵子のもとになる細胞(卵子前駆体細胞)は、出生時にはすでに一生分が体内に用意されています。しかし出生後は減る一方で、閉経時にはほとんど残っていません。
卵巣には新しい前駆体細胞を作り出す能力はありません。1個の前駆体細胞が成熟して1個の卵子が作られるため、卵子の年齢は女性本人の年齢と同じということになります。高齢化した卵子は、受精しても子宮に着床して細胞分裂する力が弱まっているため、妊娠・出産に至る確率が減ってしまいます。
ところが、そんな古くなった卵子を若返らせる治療が実用化されつつあるのです。「ミトコンドリア自家移植」ないしは「オーグメント療法」と呼ばれるものです。
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