独白 愉快な“病人”たち

エッセイスト・スエノブ由美子さん(48)子宮がん

エッセイスト・スエノブ由美子さん(C)日刊ゲンダイ

 ドクターは、脱毛も否定できないという返事。主人に「髪よりも生きていくことが大事だよ」と諭され、2週間後に手術することにしました。

 ちょうど保護犬のロキシーを迎え入れたころでした。

 前から犬を飼う相談をしていて、主人は元気になってからにしようという意見でしたが、取りあえず保健所に見にいくことにしたんです。

 すると、黒い犬がルンルンして入ってくる。

 私は細胞診後で体に力も入らない状態だったのですが、それを察して、私のところでは黙って寄り添うだけ。主人に対してはボールをくわえて「遊んで! 遊んで!」と、1歳3カ月の子供らしいしぐさをしたんです。もう、私たちはロキシーに一目ボレ。即決で、飼うために必要なものを買いに走り、4時間後には彼を車に乗せて帰宅しました。

 手術は問題なく終わり、テニスボールほどの腫瘍を摘出。ハワイでは3日後には病院を出されてしまい、トイレでパンツを下ろすのも自分でできないほど苦労しました。友達が代わる代わる来てくれて、何とかなりました。

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