医療数字のカラクリ

臨床試験では健康な人が死ぬこともある

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 薬や医療機器の製造販売に関して、法律上の承認を得るための、人での有効性や安全性を調べる試験を「治験」と呼びます。「治療のための臨床試験」を略したものだといわれています。

 治験においては、動物実験などで薬の候補となった物質を用い、まず健康な少数の人を対象に、人体内での薬物の動きを調べたり、安全性を検討したりするために行われます。がんの場合は、候補となる物質に重大な害があることも多く、健康な人ではなく、がん患者を対象に行われます。

 この治験の最初の段階で行われる臨床試験を「第1相試験」と呼びますが、今年1月にフランスで行われた「第1相試験」で“事件”が起こりました。

 それは精神科領域の薬物の第1相試験でした。128人の健康な成人を対象として、そのうち90人に薬の候補となる物質が投与されました。投与量が少ないところで問題はなかったのですが、量を増加させ、最高用量になったところで、6人に入院が必要になるような重大な副作用が起き、1人が死亡したのです。

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名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。7月末に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)を出すなど著書多数。