それを解決するための3通りの方法が検討されています。
1つは複数のヘモグロビン分子を化学的につなぎ合わせる方法。単純ですが、これで毒性が弱まります。すでにいくつかの国で製品化され、実際に使われています。しかし、心筋梗塞を引き起こすなど危険な副作用がいくつか見つかっているため、日本では承認されていません。
2つ目が人工赤血球です。リポソームという油脂でできた微小な袋に、ヘモグロビンを包み込んでしまいます。そうすることで、ヘモグロビンの毒性を封じ込めることができるのです。袋の直径は、本物の赤血球の数十分の1ですが、動物実験から、本物と同等かそれ以上に効率よく酸素を運搬できることが確かめられています。ただし、人間による臨床試験はまだ始まっていません。
3つ目は、赤血球をつくり出す細胞(造血幹細胞)を患者から採取し、フラスコのなかで培養して赤血球をつくり出す方法。再生医療の応用のひとつとして期待を集めています。基礎研究はほぼ終わっており、2017年からイギリスで臨床試験が始まる予定です。本物の赤血球ができるという点で、もっとも優れた方法と言えます。ただし、経済性と大量生産の点では、他の2つの方法のほうが有利かもしれません。
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