天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

「リスクコア」を提示して丁寧に説明する医師は信頼できる

天野篤順天堂大学教授(C)日刊ゲンダイ

 術前のこうした手続きは、一般的な病院ならある程度は行っています。しかし、ここまで細かくやっているかどうか、患者さんがそれを理解するところまでやっているかどうかが重要なのです。

 私の印象では、初回の時点では、「先生から説明を聞いたけど、なんかよく分からないな」という患者さんが7~8割ほどいるのではないかと思います。そういう場合、患者さんや家族が理解できるまで繰り返して説明します。最終的に「すっきりした気分で手術を受けられます」とか、「早く手術して下さい」といった返事が来れば、理解いただけたと判断しています。このように、分かるまで説明してもらえないようなら、病気が“待ったなし”の状況でない限り、焦ってそのまま手術に踏み切らないほうがいいでしょう。

4 / 4 ページ

天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。