どうなる! 日本の医療

今年の診療報酬改定は“与党の参院選対策”ではないのか?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 その狙いは「医療の役割分担」で、高度な医療は大病院、軽症者は中小病院や診療所で診療する体制を整えるためという。

■開業医に望ましい改定

 なるほど、もっともらしい話だが、患者側からすれば、隣に大病院があっても、わざわざかかりつけ医に診てもらわなければ大病院に行けない、というのは不便極まりない。実は今回の改定は「参院選を控えた与党に対する厚労省の配慮があるのでは」との見方も少なくない。内科医でNPO法人「医療ガバナンス研究所」(港区高輪)理事長の上昌広氏が言う。

「今回の診療報酬改定は、どちらかというと開業医の先生方には望ましい改定です。というのは開業医の多くは幼児や高齢者を相手にしていますから、収入アップにつながります。しかも、別途お金を払わないと大病院には紹介状なしに行けなくなるので、多くの患者さんは開業医に向かうことになります」

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。