薬に頼らないこころの健康法Q&A

ドラッカーに学ぶ「最初の仕事はくじ引き」の言葉の意味

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(C)日刊ゲンダイ
建築学科に進んだ息子が「やめたい」と言い出した


 長男は都内の高校を出て、関西の大学の工学部建築学科に進みました。高校3年間は美術部の活動で忙しく、あまり熱心に勉強していませんでした。将来をよく考えないまま理系クラスに進み、文系に転向しようか迷いつつ、そのまま理数系の科目を勉強して、センター試験を受けて、その成績で入れそうなところに出願して、入学してみたらそこは建築学科だったというわけです。もともと「何かになりたい」という強い思いもなく、入って1カ月もしないうちに「つまらないからやめたい」と言い出しました。将来のことをよく考えもしないで大学に進んで、今ごろになってツケが回ってきているようです。


 大学に入るとき、明確な意思をもって学部を選ぶ学生は少ないはずです。それどころか就職の際だって、明確な意思をもって会社を選ぶとはかぎりません。

 以前、ピーター・ドラッカーは、「最初の仕事はくじ引きである。最初から適した仕事に就く確率は高くない」と述べましたが、大学選びも同じです。建築学科の新入生の中で、建築学が何かを知っている者は、高専出身者だけでしょう。普通科の高校に建築学という科目はないのです。

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井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。