ご子息の学部選びにも、ドラッカーが「くじ引き」と呼んだことが当てはまります。ただ、それが「当たりくじか、外れくじか」は、ご子息自身が「建築学とは何か」を一通り知ってからでないと、そもそも判断できないはずです。
建築学の場合、構造、材料、設備などの工学的な側面を研究する分野と、設計、計画、意匠などの総合芸術的な側面を研究する分野とがあります。技術者として関わる場合と、建築家として関わる場合とでは、別の建築学があるといえます。建築学のすべてを面白いと思う人は少ないはずであり、皆、建築学のある側面に関心をもって、そこに関わっているのだと思います。
ともあれ、早々に退学届を出す前に、せっかく関西に行ったのですから、関西の建築の優れたものを自分の目で見てはどうでしょう。
たとえば、阪神間の六甲山麓には、明治の後期から昭和初期にかけて、後年「阪神間モダニズム」の名で懐古的に呼ばれることとなる建築文化が栄えました。商都大阪に蓄積された富と、港湾都市神戸から流入した外国文化とが融合して、日本建築史上の壮観というべき数々の建築物が造られました。
薬に頼らないこころの健康法Q&A