薬に頼らないこころの健康法Q&A

ドラッカーに学ぶ「最初の仕事はくじ引き」の言葉の意味

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(C)日刊ゲンダイ

 ご子息の学部選びにも、ドラッカーが「くじ引き」と呼んだことが当てはまります。ただ、それが「当たりくじか、外れくじか」は、ご子息自身が「建築学とは何か」を一通り知ってからでないと、そもそも判断できないはずです。

 建築学の場合、構造、材料、設備などの工学的な側面を研究する分野と、設計、計画、意匠などの総合芸術的な側面を研究する分野とがあります。技術者として関わる場合と、建築家として関わる場合とでは、別の建築学があるといえます。建築学のすべてを面白いと思う人は少ないはずであり、皆、建築学のある側面に関心をもって、そこに関わっているのだと思います。

 ともあれ、早々に退学届を出す前に、せっかく関西に行ったのですから、関西の建築の優れたものを自分の目で見てはどうでしょう。

 たとえば、阪神間の六甲山麓には、明治の後期から昭和初期にかけて、後年「阪神間モダニズム」の名で懐古的に呼ばれることとなる建築文化が栄えました。商都大阪に蓄積された富と、港湾都市神戸から流入した外国文化とが融合して、日本建築史上の壮観というべき数々の建築物が造られました。

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井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。