ウイルスを使った新しいがん治療が始まろうとしています。ウイルスでがんを溶かしてしまおうというのです。
昨年10月、アメリカ食品医薬品局が、単純ヘルペスウイルス1型(製品名T―VEC)を末期の悪性黒色腫に使用することを承認しました。発表によれば、ウイルスを投与した患者は、中央値で4・4カ月間の延命ができるということです。
がんを破壊するウイルスは、100年以上も前から世界中で多数見つかっており、総称して「腫瘍溶解性ウイルス」と呼ばれています。その名のとおり、感染したがん細胞を溶かしてしまう性質を持っています。しかも増殖を繰り返し、周辺のがん細胞へと感染を広げ、破壊していくのです。
正常な細胞には、ウイルスの感染を防ぐ機能が備わっています。ところが、がん細胞ではその機能が壊れていることが多く、容易にウイルスに侵されます。
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