末期膵臓がんにかかった「作務衣の医師」 最後の提言とは

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「かつて、寺院は施薬院、療病院といわれる医療施設があり、僧侶が医学的治療と『いのちの苦』の治療にあたっていた。仏教では、苦が生じるのは思い通りにならない3つの欲があるからだと教えます。『愛欲』『生存欲』『死にたい欲』です。それをコントロールできれば苦はなくなる。仏教は苦の此岸から楽の彼岸まで運ぶいかだの役。故に仏教がスピリチュアル・ケアになり、僧侶はスピリチュアル・ケアワーカーだったのです。この復活が必要だと感じたのです」

 日本では明治以降、医療と仏教の関係が破壊され、スピリチュアル・ケアが置き去りにされた。

「しかし、欧米では違います。医療施設にスピリチュアル・ケアワーカーがいることが常識。バチカンには、計8年間のスピリチュアル・ケアワーカーの資格取得・育成制度がある。また、ケアワーカーがいなければ病院設立許可が下りません。イタリアでは100床に1人が必要とされています」

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