どうなる! 日本の医療

「かかりつけ薬剤師」は財政悪化の新たな火種か?

 問題は、自己負担額を増やしてまで患者は「かかりつけ薬剤師」を必要としているのかということ。

「いまのままでも薬剤師は大抵のことは答えてくれるし、薬の管理・指導もしてくれる。5円のスーパーのレジ袋を節約する時代にカネのかかる『かかりつけ薬剤師』を必要とするとは思えません」(東海の調剤薬局勤務の薬剤師)

 ところが、一部の調剤薬局は「ビジネス拡大のチャンス」とみて、「乳幼児」「心身障害者」「生活保護者」の患者に攻勢をかけているという。

「いずれも医療費負担がゼロで、かかりつけ薬剤師指導料の負担増を感じない患者さんです。実際、こうした患者に積極的に同意書をとりつけろ、と指示する調剤薬局は少なくありません」(同)

 今回の「かかりつけ薬剤師」設置の目的のひとつに、年約380億円ともいわれる薬の飲み残しの解消があるといわれる。

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。