Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【川島章良さんのケース】腎臓がん 8割は完治する可能性あり

川島章良さん(左)/(C)日刊ゲンダイ

 10万人あたりの死亡数は男女合計で約14人。肺がん(約117人)や胃がん(約78人)などより明らかに少なく、早期発見、早期治療によって完治できる可能性が高いことを示しています。川島さんも術後、昨年1月に仕事に復帰し、その後は再発していないようですから、“家族力の勝利”といっていいでしょう。

 尿路症状は、血尿や腹痛などで、腎臓の腫瘍がある程度大きくなった状態で、尿路外症状は転移に伴う全身症状です。咳や骨の痛み、まひ、意識障害、便秘、下痢、嘔吐、頭痛など。

 転移があると、化学療法などを勧められることがありますが、腎臓がんは化学療法も放射線も効きにくい。手術できる状態で見つけられるかが、その後の人生を大きく左右します。手術が治療の第一です。

 肥満はそうでない人に比べて腎臓がんの発症率を4倍に上昇。高血圧は2倍です。メタボ化の世の中で、肥満や高血圧が低年齢化しつつ急増していることも、若い腎臓がん患者を増やす要因でしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。