薬に頼らないこころの健康法Q&A

疲労感受センサーが損壊 被災者の“予想外の元気”に要注意

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(C)日刊ゲンダイ

■試合中のボクサーは痛みを感じない

 この人たちは超人なのでしょうか。そうではありません。実はこの人たちは疲れを知らないのではなく、疲れを感じるセンサーが機能停止しているのです。これは、ボクサーが試合中に痛みを強く感じないのと同じです。

 個体存続の危機に瀕したとき、体は一時的に過活動状態となり、実際には疲労が蓄積し、許容量を超えつつあっても、アラームを発しないように、一時的に疲労感知センサーのスイッチが切られているのです。

 しかし、不眠不休の奮闘努力は、きょうまでにすべきです。最初の大きな揺れから既に4日経っています。体は確実に消耗しています。たとえ、倦怠感も、眠気も、節々の痛みも、自覚としてはまったく感じなくても、それにもかかわらず、ここで長い休息を入れなければなりません。さもないと、体は必ずこわれます。

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井原裕

井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。