世界が注視する最新医療

受精卵にゲノム編集 デザイナーベビーはすぐそこに来ている

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 中でも「デザイナーベビー」は、法律や倫理も含めて大きな問題を社会全体に提起しています。実際には赤ん坊でなく、受精卵にゲノム編集をかけることになります。病気の遺伝子を除去したり、好ましい(?)遺伝子を挿入することが考えられているのです。

 実際にやってみようという科学者も現れました。昨年、中国でヒトの受精卵を使ったゲノム編集が試みられ、世界中で大騒ぎになりました。ヘモグロビンを作る遺伝子に異常がある受精卵を使って、正常な遺伝子と置き換える実験を行ったのです。実験では、体外受精用に準備されたものの、欠陥が見つかって使えなかった85個の受精卵が使われました。うち28個で異常な遺伝子の除去に成功し、数個に正しい遺伝子を挿入できたと報告しています。

 いまのところその精度は決して高くはありません。明日にでもオーダーメードされた子供が生まれてくる心配はなさそうです。

 とはいえ、技術革新は猛スピードで進んでいます。がんや糖尿病の遺伝子が取り除かれた子供が10年以内に出現したとしても、驚くには値しないでしょう。我々が「旧人類」と呼ばれる日も、そう遠くないのかもしれません。

2 / 2 ページ

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。