新抗がん剤が契機 進行・再発胃がんの治療戦略に変化あり

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■ファーストチョイス薬で効果なしの患者もがんが半分に

 2015年6月、分子標的薬「ラムシルマブ」が、前出の「トラスツズマブ」に続いて承認されたことがきっかけだった。胃がんでは初めての「血管新生阻害剤」で、血管新生で重要な働きをする血管内皮細胞増殖因子が受容体と結合するのを阻害し、がん細胞に栄養を行き届かなくし、がん増殖を抑制する。

 この新たな分子標的薬を、1次治療がうまくいかなかった進行・再発胃がんの患者に、①「抗がん剤と併用」②「ラムシルマブ単独」の2通りの方法で投与したところ、プラセボ(偽薬)の結果と比較して、どちらも全生存期間が有意に延長したのだ。

「ラムシルマブが登場するまでは、2次治療では抗がん剤単独の治療が推奨されていたのですが、ラムシルマブを用いた比較試験によって、まずラムシルマブと抗がん剤の併用療法が推奨されることになったのです」

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