有名病院 この診療科のイチ押し治療

【プレミアム白内障手術】お茶の水・井上眼科クリニック(東京)

右は比嘉利沙子医師
右は比嘉利沙子医師(提供写真)
くっきり・ハッキリ見えて夜間の光のにじみが少ない

 60歳代の60~70%、70歳代の80~90%の割合で起こる白内障。目の中でピントを合わせる役目をする水晶体が白く濁ってくる病気で、「目がかすむ」「まぶしい」などの症状が表れる。原因のほとんどは老化現象だ。

 治療は手術をするしかなく、濁った水晶体を取り除き、そこに「眼内レンズ」を挿入する。日帰り手術で行われるのが一般的だ。同院は隣接する井上眼科病院(本院)の外来診療部門。白内障手術件数では、全国でもトップクラスの実績をもつ。同院・屈折矯正外来の比嘉利沙子医師が言う。

「白内障手術で扱う眼内レンズは、保険診療の『単焦点眼内レンズ』と先進医療(レンズ代が自費)の『多焦点眼内レンズ』に大きく分けられます。当院ではさらに、自由診療になりますが、乱視矯正も同時に可能な『高機能多焦点眼内レンズ』も選択できます。患者さんのニーズ、職業や趣味などのライフスタイルに合わせ、患者さんに最適な眼内レンズを提供しています」

 単焦点眼内レンズは1つの距離にピントを合わせるので、合っているところは鮮明に見えるが、それ以外を見る場合はメガネが必要になる。多焦点眼内レンズは遠近の2つにピントを合わせるので見える範囲は広いが、単焦点眼内レンズに比べてピントが若干あまく、夜間の光がにじむことがある。

 そして、通常の多焦点眼内レンズの欠点を極力抑えられるのが、高機能多焦点眼内レンズだ。この眼内レンズと最先端レーザー機器を組み合わせた手術によって、より満足度の高い治療効果が得られるという。同院ではこれを「プレミアム白内障手術」と呼んでいる。

「通常の多焦点眼内レンズは、矯正度数を0・5D(ジオプトリー)刻みで選びます。しかし、高機能多焦点眼内レンズは近視や遠視だけでなく、乱視も0・01D刻みで合わせることができる完全オーダーメード。つまり、個人に合った専用の眼内レンズですので矯正精度が高く、遠近共に良好な視力が得られます」

 また従来の多焦点眼内レンズよりもコントラスト感度が良好で、夜間の光のにじみも少ないという。ただし、いくらレンズが高機能でも、手術自体の精度が高くなければ、その効果も台無しになる。そこで最先端レーザー機器を使った手術が重要になる。

 従来の白内障手術ではメスが必要だが、プレミアム白内障手術ではレーザーを使うのでメスが不要になる。

■費用は片目60万円~65万円

「最先端レーザー機器には、目の状態を画像で解析できる3次元光干渉断層計(OCT)が内蔵されています。そのデータを用いて、レーザーで正確に切開できるので眼内レンズを眼内の最適な位置に設置できるのです」

 点眼麻酔で所要時間15~20分(片目)は従来の手術と同じだが、費用は全額自費になるので税別で片目60万円(乱視矯正あり65万円)になる。

「プレミアム白内障手術は、見え方の質にこだわる患者さんにはおすすめです。ただし、目の調節力が戻るわけではないので、20代の見え方に戻るわけではありません」

 同院では、プレミアム白内障手術の適応や術後の見え方を詳しく理解してもらうために毎月2回、説明会を開いている。

データ
 眼科専門病院「井上眼科病院」(井上賢治院長)の外来診療施設。
◆白内障手術の担当医師数=22人、プレミアム白内障手術担当医2人
◆白内障手術数(2015年)=5164眼(うちプレミアム手術は122眼)