危ない 薬の勘違い

過剰摂取は逆効果 健康食品を安全に活用するための注意点

健康食品は本当に安全なのか
健康食品は本当に安全なのか(C)日刊ゲンダイ

 ここ数年、健康食品市場がとても賑わいを見せています。「少しでも健康に」「食生活が不規則だから」「薬は嫌い」など、さまざまな思いで取られている人がほとんどでしょう。そうした方々からは、「食品だから安全」「自然のものが安心」といった言葉をよく聞きます。これは本当なのでしょうか?

 健康食品も正しく使わなければ、思わぬ健康被害を招くケースがあります。薬局で、患者さんから「健康食品を取り始めてから、肝機能検査値に異常が出てきた」「出血しやすくなった」「血糖値が上がってきた」といった相談を受けた経験は何度もあります。

 臨床現場では、「それが本当に健康食品の影響だったのかどうか」の調査、証明まではしないことも多いのですが、健康食品関連の論文は数多く発表され、被害の報告もたくさん出ています。「食品だから安全」「自然だから安心」は間違いなのです。

 健康に効果的なある成分を摂取する場合、通常の食品の形で食べれば過剰に取りすぎることはありません。そもそも、肉や魚や野菜などの食品に含まれている成分の量は少量で、たくさん摂取することが困難だからです。

 しかし、錠剤やカプセル状に加工された健康食品の場合はどうでしょう。濃縮されれば、普通に暮らしている中で摂取するような量ではなくなります。1カプセルにシジミ300個分……これは、通常で取る量ではありません。「ある成分を効果的に摂取する」という意味では良いといえるかもしれません。しかし、シジミを毎日1000個食べることが確実に安全なのかどうか。そう考えると、少しイメージが変わるのではないでしょうか?

 健康食品は、医薬品ほど厳密な審査過程を通じて市場に出てきているわけでもありません。成分はマイルドですが、あたかも安全を誇張するような謳い文句には惑わされないようにしましょう。

金田崇文

金田崇文

1979年、東京都生まれ。千葉県立船橋高校を経て岡山大学薬学部を卒業。2004年からこやま薬局(岡山県)に勤務。管理薬剤師を務めながら、各地で薬や健康をテーマにした講演活動を行っている。