独白 愉快な“病人”たち

医師・精神科医 宮島賢也さん(42)うつ病

医師の宮島賢也さん(C)日刊ゲンダイ

 朝早く目が覚め、だるさが続き、精液が濁って、血が混じることも。それでも「無理です」とは言えなくて。歯を食いしばって勤務したけれど、ブツブツ独り言を口にするようになり、休職を勧められ、1カ月休養を取ることになりました。

 精神科医になった今は、患者さんには「うまく」「しっかり」「ちゃんと」に固執しないよう提案していますが、その時の自分がまさにそうでした。子供の頃から親の期待に応えてきて、初めて敗北感を味わいました。休養期間を経て、研修先も変わり、肉体的には楽になったのに意欲が出ず、精神科を受診したらうつ病との診断が……。

■根本的な解決を先延ばしにしているのが医療

 ただ、正直ホッとしました。同期と同じコースから戦線離脱したことに“言い訳”が必要だったんだと思います。それからは抗うつ薬を飲みながら、勤務を続けました。薬は、一時的には症状を麻痺させても根本解決ではなく、主治医には「薬は一生飲み続けたらいい」と教えられました。

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