世界が注視する最新医療

「糞便移植」 米国では健康な便が40ドルで売れる

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ヒトから採った乳酸菌入りの整腸薬が人気です。しかし、その乳酸菌をどうやって採ってきたのか、心配する人もいるかもしれません。そんな人にとっては身の毛もよだつ話です。何しろ、他人の便を上から下から腸内に注入しようというのですから。

 ヒトの大腸には、約1000種類、数にして約100兆個の細菌がすみついています。互いにバランスをとりながら、人体に必要なビタミンを作り出したり、免疫の働きを調整したり、なくてはならない働きをしています。ところが、何かのきっかけでバランスが崩れると、さまざまな健康上のトラブルが生じます。

 いま世界中で問題になっているのが、「クロストリジウム・ディフィシル(CD)誘発性大腸炎」と呼ばれる下痢症です。

 CDはヒトの大腸に普通にすみついている悪玉菌の一種。普段はおとなしいのですが、高齢の患者などに抗生物質を投与し続けると善玉菌が減ってしまうため、タガが外れて急に暴れだすのです。抗がん剤にも善玉菌を殺す作用があるので、CDの下痢に悩まされているがん患者も大勢います。しかも欧米では強毒株が出現したため、院内感染が大問題になっています。

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永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。