世界が注視する最新医療

「糞便移植」 米国では健康な便が40ドルで売れる

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 アメリカ国内だけで年間に50万人以上がCDによる大腸炎にかかり、1万数千人が亡くなっているといわれているほどです。日本にはまだ強毒株は入っていないようですが、時間の問題でしょう。

 いまのところ、あまり有効な治療法はありません。しかし近年、糞便移植がガ然注目を集め始めています。健康な人の便を生理食塩水に溶かし、これを内視鏡で胃や十二指腸から、あるいは直接大腸に注入するのです。口から飲める糞便カプセルも実用化しつつあります。健康な善玉菌を便ごと移植することによって、CDの暴走を抑えようというわけです。単純かつ原始的な方法ですが、治癒率9割以上という驚くべき成果を挙げています。

 今年に入ってから、オランダで健康な便を収集・保管・供給するための「糞便バンク」がスタートしました。糞便バンクはアメリカにもあり、審査に通った健康な便を1回(1日分)40ドルで買い上げています。“ウン”に自信のある人には、おいしいアルバイトと言えそうです。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。