人工関節で完治も “3Dプリンター”で膝痛とオサラバする

右写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 そのため、削り幅や人工関節を埋め込む角度にズレが生じやすく、医者の経験値によっても左右された。加えて、手術中に検討されることが多いので、手術時間が長くなりやすい。結果的に出血量が増え、術後の後遺症のリスクが高くなり、患者への負担が大きかった。

「最も問題なのは、人工膝関節置換術を受けたのに痛みが取れない人、再置換手術を受けなければならない人が出てくることでした。3Dプリンターはこれらの問題を解決できたのです」

 手術前に患者それぞれの立体的なモデルを作って入念なプランニングができるので、医者の経験値を補助し、安全で的確な手術が行える。入院期間は個人差があり数週間となるが、手術翌日から歩行訓練ができ、「手術したことを忘れてしまった」と話す患者が多いという。

 せっかくの技術進歩を生かすには、変形性膝関節症についての誤った認識を改めたい。前出の「末期」症状で、どんな手を打っても痛みが解消されないようなら、「そのうち良くなるかもしれない」と考えるのはやめるべきだという。

3 / 4 ページ

関連記事