薬に頼らないこころの健康法Q&A

熊本地震が教訓 これからは支援側の寛容さと忍耐力が必要

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(C)日刊ゲンダイ

 熊本・大分を襲った地震から10日ほどが経ちました。被災者はそろそろ疲れがピークに達するころです。この時期、被災者を支援する私たちが覚悟しなければならない課題があります。それは、被災者が次第に気難しくなってきている可能性を含みおくことです。

 被災者のご友人・親族を激励したくて電話をかけてみたら、とがった言葉が返ってきたとか、イライラして八つ当たりされたといった経験をお持ちの人もいるでしょう。

 今、避難所の空気は、震災初期の温かく励ましあう雰囲気が徐々に薄らぎつつあります。避難所では、最初は被災者たちは「危機的な事態をくぐり抜けて、今、ここに死なずに生きている」といった感慨を共有していました。亡くなった友人、まだ行方不明の親族をおもんぱかってはいますが、それでもどちらかといえば、被災者同士が「みんなでこの危機を乗り切ろう」といった意識を共有していました。そして、食料を分け合い、毛布を貸し合い、お年寄りの手を引いてと、被災者全員がボランティア精神をもって助け合おうとしていました。

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井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。