被災者の支援とは、この難しい感情を克服するところにあるともいえます。支援側が忘れてはならないことは、「この人たちが被災者だ」という自明の事実です。被災という出来事がなければ、こんなにもピリピリした状態になるわけがありません。この人たちは最初からこれほど気難しい人たちであったわけではなく、被災という不幸な出来事が、この人たちをこんなにも気難しい人柄に変えてしまったのです。
被災者は皆、生身の人間です。突然、こんな理不尽な目に遭って、平静でいられるわけがありません。こういう、よく考えれば当然の心理に思いをはせれば、被災者のトゲのある言葉もまた無理もないものであることがわかるでしょう。
ここで問われるのは、何よりも支援側の寛容さと忍耐力です。怒りの矛先が突然、自分に向かってくることもあります。でも、どうか驚かないでください。この感情は、あくまでも一時的なもの。被災者のこころの底からの思いではないととらえてください。
薬に頼らないこころの健康法Q&A