当事者たちが明かす「医療のウラ側」

震災後に増えるレーシック希望者 知るべき“問題点”とは

(C)日刊ゲンダイ

 被災地では一時的な視力障害者が増加します。震災による被害でメガネやコンタクトレンズを失うからです。

 実際、東日本大震災のときは「避難所の壁に張られた案内文が見えず不自由した」「足元がよく見えないまま、トイレで用を足したら、衣服を汚した」なんて方もおられたと聞いています。

 また、揺れの合間に自宅を見に戻った際、亀裂のできた道路のアスファルト、崩壊したビルや家屋のがれきなどでケガをした人も多かったそうです。そのせいか、震災後にレーシック手術を希望する人が増えたと聞いています。

 今回の熊本大地震でも同じようなことが起こるのでしょうが、実際に手術を受ける前にレーシック手術の問題点も知っておくことが必要です。

 角膜を削って視力を矯正するレーシック手術は、2009年に起きたある眼科の集団感染症事件により、マイナスイメージが定着しています。

 いまは角膜に触れずにレーザーで行う手術が主流になり、感染症の心配は少なくなりました。眼科専門医の適切な診断のうえで行えば、レーシックは安全性が高い手術といえそうです。

 とはいえ、感染症のリスクが減り、手術が成功しても問題が起こらないわけではありません。手術後に「目標の視力まで到達しなかった」「手術直後は満足した視力が出たが、半年ほどして視力が落ちた」「夜間に光がにじんだり、まぶしく感じる」「目が乾いて痛い」などと訴える患者さんは少なくありません。たいていは時間が経てば問題が解消すると説明されますが、必ずしもそうでないケースもあります。

 また、レーシック手術後はステロイド系の抗炎症剤を使用するため、高眼圧になる可能性があります。

 米国では民間パイロットだけでなく、米軍の戦闘機パイロット、NASA(米航空宇宙局)でもレーシックは解禁されている。だから「レーシックは安全だ」との議論があります。しかし、米国のそうした人向けのレーシック手術が設備・スタッフの技量を含めて、日本で一般的に行われているレーシック手術とまったく同じであるのかどうかは分かりません。

 なので、レーシック手術を受けるときは十分、医師の説明を受け、納得してから決断するようにすべきです。