震災後の健康被害 これからが危ない

<第3回>ストレスを軽減しない限り発症リスクは抑えられない

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脳と心臓、血管系の病気

 震災直後は心筋梗塞や脳卒中などの脳や心血管イベントが増えることが知られているが、被災地では今後も注意が必要だ。東邦大学医療センターの東丸貴信教授(循環器科)が言う。

「揺れが一段落したからといって安心してはいけません。被災者はいまも余震への恐怖や慣れない避難所暮らしへの不安や睡眠障害など多くのストレスを抱えています。体内ではそれを克服するために交感神経や視床下部―副腎皮質の働きを活性化し、免疫細胞の伝達物質であるサイトカインを増やします。それが血圧を上昇させ血液を固まりやすくして、炎症反応などを招くこともあり、このイベントを増やすのです。つまり、被災者のストレスが続く限り、このイベント発症リスクは抑えられません」

 阪神・淡路大震災では脳卒中や心筋梗塞の発症増加傾向は震災発生から2~3カ月続いたことが報告されている。では、今後はどんな病気に気をつけなければならないのか?

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