震災後の健康被害 これからが危ない

<第3回>ストレスを軽減しない限り発症リスクは抑えられない

(C)日刊ゲンダイ

「エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症・急性肺血栓塞栓症)は引き続き十分な注意が必要です。震災2日ごろから増え始めますが、その後も多くの発症例が報告されています。脳卒中、心筋梗塞も警戒しなければなりません。一般的には夜間・早朝の発症が多いのですが、災害時ではその傾向が一層強くなります」

 被災地では誰でも血圧が上昇する。高血圧の治療が必要かどうかの見極めも大切だ。

「被災地ではストレスにより収縮期(上の血圧)が15~30㎜Hgは上昇するといわれています。そのため、普段は血圧が正常の人や薬で安定している人でも、高血圧状態になりえるのです。また、被災者は交感神経の活性化で食塩感受性が高まっていますし、塩分の多い保存食を食べざるを得ません。それが、高血圧に拍車をかけるのです。ただ、血圧上昇は一時的で、やがて落ち着いてきます。治療の開始と中止は慎重に考えるべきです」

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