看護師直伝 がん治療と笑顔で付き合う

抗がん剤の「吐き気」 初回の“治療”で乗り切れることも

(C)日刊ゲンダイ

 抗がん剤を投与しても、テレビドラマのように副作用でゲェゲェ吐くなんてことはほとんどなくなりました。ただ、副作用として吐き気や嘔吐があることは事実です。

 抗がん剤による吐き気には、投与後1~2時間程度で出てくるものと、1~2日経ってから出てくるものがあります。

 これは薬剤の種類によっても違いますし、同じ薬剤を使っていても個人差があります。

 以前に比べ、抗がん剤と一緒に使用する吐き気止めは進化していて、抗がん剤の種類によっては、食欲不振や胃の不快感程度で治療を終える方も少なくありません。

 エビデンス(医学的根拠)には欠けますが、私はよく「病は気から」というようなことを患者さんにお伝えします。吐き気や嘔吐は、精神的な影響もあって女性に多く見られる傾向にあります。「抗がん剤でゲェゲェ吐く」といったドラマのイメージにとらわれすぎず、どーんと構えていてほしい。それによって、吐き気をほとんど感じず、抗がん剤治療を乗り切れた患者さんもいます。

 さらに大事なのは、初回の治療で吐き気があれば、医師や看護師にきちんと伝え、すぐに対応してもらうこと。「治療だから仕方がない」などと我慢される患者さんもいますが、それは禁物です。

 なぜなら、一度吐き気を経験すると、次回の治療の時に「吐き気が強くてつらかった」という記憶がよみがえり、それによって吐き気を催すことがよくあるからです。

 食事をさっぱりした酢のものや冷ややっこ、ニオイが気にならないように冷たくした米飯にするなどの工夫も有効です。次回は、もっと具体的な抗がん剤の吐き気対策を紹介しましょう。