「高尿酸血症・痛風治療ガイドライン」によると、男女問わず尿酸値が7(mg/dl)を超えるものを高尿酸血症と定義します。痛風関節炎、高尿酸血症の家族歴、肥満や糖尿病などの合併症があれば、8以上で薬物治療開始。合併症がなければ9以上を治療開始の基準としています。
一般的には尿酸値の高さだけにとらわれがちですが、実は、尿酸値が低い場合も問題です。なぜなら、尿酸は細胞の酸化を抑制する抗酸化物質だからです。あるテレビ番組で皮をむいたリンゴに尿酸を塗布する実験を行っていましたが、そのリンゴは時間が経っても黒く変色しませんでした。つまり、尿酸がリンゴの酸化(=黒い変色)を抑えていたのです。
以前、こんなことがありました。私が血液栄養診断士として血液データを見た20代の方に、がんが見つかったのです。その方は尿酸値が3前後と低く、どうやっても尿酸値が上がらない。「体質的に抗酸化力が低い」と考え、家系に多い病気を聞くと「がんが多い」という答えでした。
それ以来、尿酸値が3以下の人に同様の質問をしているのですが、やはり「家系にがんが多い」という答えが返ってきます。抗酸化力が低い体質が関係しているとみて、抗酸化成分であるビタミンA、C、Eなどを積極的に取るように勧めています。とはいえ、やはり尿酸値が7を超えて高いのも問題です。薬物治療の前に、尿酸値が高くなる原因であるストレス、大量のアルコール、肥満、カロリー過多、激しい運動に該当するか自己問診し、改善するように努めてください。
本当は危ない“正常値”を見逃すな