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将来の発病予想や寿命まで判明? 医療用家系図の有用性

遺伝子検査よりも正確(C)日刊ゲンダイ

 大半のがんや糖尿病、高血圧、高脂血症、心臓病、脳卒中などは「遺伝的背景」「生活環境」「生活習慣」の3つの要素が複雑に絡み合って発症すると考えられています。そして医療用家系図に書き込まれた事実は、これら3要素が混ざり合った結果です。したがってこれを見れば、あなたが今後どのような病気にかかりそうか、何歳まで生きられそうかが、実は民間の遺伝子検査などよりも正確に予想できてしまうのです。

 同じ家系に属する人々は、遺伝的背景のみならず、生活環境や生活習慣も似通っている場合が多いもの。例えば、両親が喫煙していれば、子供も高い確率で喫煙するようになりますし、塩分の高い食事で育つと、その味覚が子供にも伝わっていきます。

 家系図から自分のファミリーに固有の生活環境や生活習慣を見直すこともできるため、自分たちに適した生活改善や病気予防が可能になります。

 家族が集まる機会があれば、自分と家族の医療用家系図を作ってみてはいかがでしょう。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。