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【腹部ヘルニア】聖路加国際病院・ヘルニアセンター(東京都築地)

左は聖路加国際病院・ヘルニアセンター(東京都築地)の柵瀨信太郎センター長(日本ヘルニア学会理事長)(C)提供写真

 手術法には、鼠径部を切開する手術と腹腔鏡手術がある。どちらも筋膜の弱くなっている部分をメッシュ(人工膜)を使って修復する。手術法の選択はヘルニアの病態や患者の体の状態、希望などを考慮した上、「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン」に沿って決定される。同センターでの入院期間は平均2泊3日だ。

「鼠径部切開法は、誰にでも適応できるスタンダードな術式です。腹腔鏡は腹部内部から広く観察できるので複雑な病態にも対応できて、術後の痛みが少ないのがメリットです」

 執刀医の熟練度は再発率にも反映する。日本内視鏡外科学会による調査では(2012~13年)、再発率は、鼠径部切開法で平均1~1.6%、腹腔鏡で平均4~5%とされる。同センターでは、切開法0.5%以下、腹腔鏡では0%だという。

「別の病気をお持ちの患者さんは初診時に治療歴、お薬手帳など医師が全身状態を正確に判定できる資料を持参していただくことが大切です」

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