危ない 薬の勘違い

薬の飲み合わせ “マルチビタミン”と抗菌薬を一緒に飲むと…

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 健康食品には、医薬品との飲み合わせに注意が必要なものがいくつもあるのをご存じでしょうか。薬局で患者さんからよく聞くものは、「グルコサミン」「ヒアルロン酸」「マルチビタミン」「ミネラル」「ブルーベリー関連」「乳酸菌」といった健康食品です。

 ただ、「健康食品でビタミンをとっています」という患者さんに、「そのビタミンって何が入っていますか?」とうかがった場合、答えられる人はほとんどいません。健康食品と医薬品との関係について、あまり考えていらっしゃらないケースが多いのでしょう。

 本人がビタミンだと思って飲んでいても、その商品は“マルチビタミン・ミネラル”であって、ビタミンだけでなくミネラル分も入っていたりします。つまり、鉄、マグネシウム、カルシウムなどが含まれているため、抗菌薬を一緒に飲むと効きが悪くなってしまうことがあるのです。

 医薬品を服用している最中は、自身の判断で健康食品をやめている方もいますが、薬局で「何か健康食品使っていますか?」と聞いても、何も答えない方もいます。後日、改めてうかがってみると、「健康食品はずっと前から飲んでいました。薬と飲み合わせが悪いものがあるなんて思っていなかったので……」と言われることも珍しくありません。

 グルコサミンは血糖を上昇させる可能性があるため、糖尿治療薬の作用に影響することがある。ニンニクがワーファリンなどの血液の凝固効果を強くする可能性がある。ブルーベリーと医薬品のビタミン剤でビタミンAの過剰摂取になってしまう可能性がある……。こうした注意すべき飲み合わせをご存じない方は多いと思われます。

 いまも「健康食品は、食品だから安心・安全」というイメージで利用されている方がたくさんいます。少なくとも医薬品を使用する際には、利用している健康食品を医師や薬剤師にしっかり伝えてください。

金田崇文

金田崇文

1979年、東京都生まれ。千葉県立船橋高校を経て岡山大学薬学部を卒業。2004年からこやま薬局(岡山県)に勤務。管理薬剤師を務めながら、各地で薬や健康をテーマにした講演活動を行っている。