医療数字のカラクリ

動物実験に治験 数々のステップも事件の歯止めにならない

 動物実験での抗がん剤との併用による危険、第2相臨床試験での計3人の死亡、さらには痛みに対するあいまいな治療効果。以上を考慮すれば、このまま保険薬としての認可には相当慎重でなければならなかったはずです。

 動物実験、第1相の治験、2つの第2相の治験、さらには第3相の治験と、いくつもの段階があるというだけでは、こうした事件の歯止めにはならないことを示しています。

2 / 2 ページ

名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。