どうなる! 日本の医療

日本の薬価決定システムは国を滅ぼす

厚生労働省(C)日刊ゲンダイ

「オプジーボ」の薬価は、100ミリグラム1瓶で72万9849円。この薬を非小細胞肺がんの患者に1年間投与すると、約3500万円かかるという。薬価決定に詳しい薬剤師が言う。

「新薬の価格のつけ方には、類似薬効比較方式と原価計算方式があります。オプジーボのように画期的新薬は後者で決めます。大まかに言うと、開発にかかった費用などを、売れる見込みの薬剤数で割り、そこに1瓶あたりの材料費を足すという方法です」

 オプジーボの最初の認可は、患者数予測がピーク時でも患者500人ほどのメラノーマ(悪性黒色腫)だった。当然、1瓶あたりの値段は跳ね上がる。

「その後、この薬が非小細胞肺がんにも効果があると分かり、そちらも認定を受けたのです。患者数は約10万人で、うちオプジーボ投薬対象者の推計は5万人。このため製薬会社は“予想外の収入”を得たとみられますが、一度決まった薬価は変わっていません」(前出の薬剤師)

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。