これに真っ青になったのが厚労省だ。国民医療費は今や40兆円で、そのうち薬代金は約10兆円。仮にオプジーボを非小細胞肺がんの患者約5万人に投薬すると、その薬代金は1兆7500億円となり、これまでの薬代の約2割を占めることになる。
「このままでは国民はさらに数千億円の薬代金の負担をのむか、他の病気の薬代を削るしかありません」(厚労省関係者)
むろん、現行制度でも当初の推計より売れすぎた場合には「市場拡大再算定制度」などの薬価を下げる仕組みはある。
「仮にそれが適用されても現行制度では価格の変更は2年に1度ですから、認可を受けてから2年間は今のままの価格が続くということです」(前出の医療関係者)
忘れてならないのは、これはオプジーボに限った問題ではないということだ。これまでも、新薬開発当初から適用拡大が予想されながら、患者数の少ない病気の治療薬として申請、その後、一気に市場拡大した薬はなかったのか?
製薬関係者からは、「後からのルール変更は自由競争の否定」「企業の新薬開発の意欲をそぐもの」との批判があるが、今後も画期的新薬は続々登場する。制度変更の遅れは許されない。
どうなる! 日本の医療