はたして、日本の自殺対策は成功しているのでしょうか。警察庁の速報によれば、2015年の全国の自殺者は前年と比べて1456人(5.7%)減の2万3971人。6年連続で減少となりました。
思い起こせば、自殺者3万人という時代がありました。1997年からの15年間のことです。あのころを思えば、この2015年の数値は自殺対策が成功したようにも見えます。
しかし、楽観は禁物です。この自殺者数の減少は、人口動態がもたらした偶発事にすぎない可能性もあるからです。
44年前の1972年、井上陽水は名曲「傘がない」の中で、都会における若者の自殺増加を指摘しました。1997年に自殺者の総数は3万人を超え、2012年には自殺総数は15年ぶりに3万人を割りました。以来、自殺総数は減り続けています。これらの現象は、じつは人口動態学的にはたった一つの原因で説明がつきます。
薬に頼らないこころの健康法Q&A