先日、モノマネで有名な40代の芸能人が食事後に突然倒れ、心臓が停止して帰らぬ人となったとの報道がありました。死因は「虚血性心不全」と発表されています。耳慣れない病名ですが、心臓に栄養を送っている血管が血栓で詰まり、それが原因となって心臓が停止したことが想定されるような場合に付けられることの多い診断名です。
心臓に栄養を送る血管が詰まる病気は心筋梗塞ですから、心筋梗塞の起こったことが特定できれば、それが病名になります。しかし、そこまでは分からない……というような時に、こうしたやや曖昧な病名が付けられるのです。
こうした心臓突然死というのは、若い人でもまれに起こることがあります。心臓の持病がもとにあるケースもありますが、全くない場合もあります。心電図検査のような検診で、“突然死の起こりやすさ”が分かれば予防につながるのですが、残念ながら、今までに、「事前の検査で突然死が予防された」というような報告は、ほとんどありません。したがって、人間ドックを受けているから安心ということもないのです。
本当の心臓発作の前には、その前兆のような胸の痛みなどの体調不良が起こる場合が多いことが知られています。その時点で詳しい検査をすると、「病気を未然に防げた」という報告があります。胸の痛みや苦しさがあれば、それが治まっても、すぐに医療機関を受診する。これが今のところ最善の予防法であるようです。
医者も知らない医学の新常識