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【食道アカラシア】昭和大学江東豊洲病院・消化器センター(東京都江東区)

昭和大学江東豊洲病院・消化器センター・センター長の井上晴洋教授/(C)日刊ゲンダイ

「根治治療は、輪ゴムで締め付けられたような状態になっている筋層の一部を切開して緩めます。従来の腹腔鏡下では、お腹に穴を5カ所開け、手術時間も3~4時間かかります。しかし、POEMは口から挿入した内視鏡だけで筋層を切開するので、時間は1時間半ほど。患者さんへの侵襲が圧倒的に少なく、外科治療と同等以上の効果が得られるのです」

 食道へアプローチするのが、外側からか、内側からかの違いだけではない。腹腔鏡では、臓器や血管が入り組んでいるので筋層を縦方向に切開できる長さは7センチほどが限界。それがPOEMでは、倍以上(15~20センチ)も切開することができる。その分、食道の通過障害が過不足なく改善することができるという。

■再発率は1%以下

「POEMは、90%以上の症例で嚥下困難は改善します。また、外科治療では通常、患者さんに『食事は普通にできるようになるが、胸の痛みは取れない』と説明するのですが、POEMの場合は7割方は胸の痛みが消えます」

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