病院は本日も大騒ぎ

同僚から「病院を替えると年金はどうなるか」尋ねられて…

“国民年金だけ”という診療所もある
“国民年金だけ”という診療所もある(C)日刊ゲンダイ

 こんにちは! 関東圏の総合病院に勤務して30年。現在、3カ所目の職場で看護師長を務めるマユミです。

 たまに若い看護師から、「病院を替えると年金はどうなりますか」という相談を受けます。

 看護師は慢性的に不足気味。多少なりとも経験がある看護師となるとなおさらです。病院側は、支度金、格安な部屋、寮の提供など魅力的な条件で勧誘します。かつては、それにつられてホイホイ転職していた看護師もいましたが、最近の看護師は地に足がついているというか、年金を含めて損得を考えるようになっているのです。

 私の場合、地方の短大を卒業して看護師の国家資格を得たのが22歳でした。国家資格を得るまで国民年金に加入しており、資格を得た後は、公的病院に勤めている間は年金が共済年金、私立病院に勤めている間は厚生年金に加入していました。

 幸い、私はそういうケースはありませんでしたが、“国民年金”だけ、という診療所もあるようです。「病院を替える看護師と、退職するまで1つの病院に勤務する場合、年金を比較するとどちらが得ですか」と聞かれることもあります。

 基本的に、もらえる年金は掛け金(保険料)が大きいほど多くなります。掛け金は年間に受け取る給与とボーナスの合計の12分の1である平均標準報酬額で保険料率が決まるからです。

 気をつけたいのは、月額の報酬の中には残業代はもちろん、交通費も入ること。つまり、同じ給与をもらっていても、残業代が多かったり、交通費が多い人は、より多くの年金をもらうことになります(ただし、それだけ年金保険料と健康保険料の負担が増えるのですが)。

 また、年1回、4、5、6月の3カ月間の月額報酬の平均を基準とするので、この期間は一生懸命残業をしたり、転職する際は4月により高い給与の職場に移る知恵者もいます。

 ただし、平成15年3月までは「標準報酬月額」といって、月額の報酬だけで保険料率が決まっていました。そのため、2つの年金制度をまたいで働いている私の経験が、若い看護師の参考になるかはわかりません。

 ちなみに私の場合、看護師を60歳まで務めて、受け取る年金の月額総額は、25万円ぐらいになる予定です。

 もっとも、サラリーマンと違って看護師は国家資格ですから、体と頭が働くうちは職場さえ選ばなければある程度働けます。ですから、若い看護師さんには「将来どうなるかわからない年金をあてにするより、技術を磨きなさい。それが私たちがより長く、より多くの収入を得る道です」と話をしています。