体内に“接着剤”も 「下肢静脈瘤」治療事情が激変していた

右が「スーパーグル―治療」(榊原直樹医師提供)

 足の静脈の弁が壊れる「下肢静脈瘤」の治療が激変している。米国で最新治療の研修を終え、帰国したばかりの東京血管外科クリニック・榊原直樹医師に聞いた。

 血液は心臓から動脈を通って足へ行き、静脈を通って心臓へ戻る。静脈には血液が逆流しないように弁がついている。この弁がなんらかの原因で正常に働かなくなるのが下肢静脈瘤だ。

 初期にはむくみや足がつるなどの症状があり、足の血管が拡張して浮き出る。さらに色素沈着や潰瘍が生じたり、血管内に血の塊(血栓)ができて心臓に飛び、突然死に至ることもあるエコノミークラス症候群のリスクが高まる。

 従来の治療法は、医療用弾性ストッキングをはく「圧迫療法」、薬剤を注射する「硬化療法」、静脈瘤ができた血管を引き抜く「ストリッピング手術」などがあった。圧迫療法や硬化療法は根本治療ではなく、ストリッピング手術は神経障害などを起こす可能性があり、いずれもベストとはいえなかった。しかし2005年、「血管内治療」と呼ばれるレーザー治療が登場した。

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