医療数字のカラクリ

患者は新薬を期待するが治験の「偽薬」はハズレではない

「治験」は、健康な人を対象とした第1相試験に引き続き、患者を対象にした第2相臨床試験が行われます。むろん、患者さんの自発的な参加によって実施されます。

 第2相試験では試験薬を飲む人たちばかりではなく、見た目では区別できない「偽薬」を投与される人たちが設定されるのが一般的です。

 臨床試験に参加する患者さんとしては、「新薬の効果を期待して治験に参加するというのに、偽薬ではしようがない」「偽薬はハズレで新薬は当たり」、そんなふうに考えるのが普通のように思えます。しかし、必ずしもそうではありません。

■「偽薬」はローリスク・ローリターン

 前回お話ししたように治験に参加すると負担軽減費が支給されます。これは「偽薬」に当たっても支給されます。「偽薬」は効果の面では期待できませんが、安全性の面では新薬よりはるかに上です。重大な副作用の危険を回避して、負担軽減費を得られるという意味では、ただハズレたというわけでもないのです。ローリスク・ローリターンというところです。

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名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。7月末に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)を出すなど著書多数。