東京・大田区内の一戸建てに住むKさん(72)は、「要介護2」(日常生活の基本動作で部分的に介護が必要)の認定を受けている。
寝室から風呂やトイレまでは自力で歩ける。だが、足元が少しおぼつかない。昨年暮れ、2階から階段を下りるとき、足を踏みはずして片足を骨折した。
同居介護者の長女(主婦)は、区から派遣されるケアマネジャーに「住宅改善」(バリアフリー)を相談。階段や風呂場、トイレの手すり付け、部屋と廊下の段差解消等の工事を行うことになった。
「工事費は30万円を超えたでしょうか。そのうち、区から20万円(上限)ほどの助成金を受け取りました」(長女)
介護認定者の住まいがバリアフリー工事を行う場合、自治体によって金額の差もあるが、資金援助が受けられる。
このように高齢者が住みやすいリフォームや、Kさん宅のようなバリアフリー工事が目下、急増中だ。
しかし、注意点がある。福祉住環境コーディネーター2級を所持している「城東テクノ㈱」(東京・築地)マーケティング課の山田昭夫課長がこう語る。
「バリアフリーの工事は、高齢者が住む住宅にとっては大切なこと。でも忘れてほしくないのは、高齢者を家の中に閉じ込めてはいけないということです。老化を進め、認知症を早めますから。だからできる限り、安心して外に出てもらう工夫を考える必要があります」
そのために、同社が開発に取り組んでいるバリアフリー機材が介護保険適用の「ハウスステップ」である。
複合材で作られ、体重100キロの人が乗っても、ひずみがわずか3ミリという高耐久性。今年4月からの販売で、工事は必要ない。
主婦でもできる「簡単設置」がミソで、風呂場はもとより、玄関の段差や、窓から庭先に下りるときの利用など製品が数種類(2万9000~4万9000円)ある。
介護を助ける“切り札”はコレだ